症例報告
Top Member多井一貴
「患者」
35歳・男性・会社員
「症状」
逆流性食道炎
「来院日」
H29年9月
「来院経緯」
発症は3ヵ月前。
患者はもともと胃の不調などは特に感じていなかったが、
たまに胸のあたりに違和感を覚えていた。
若干の違和感はあったものの、
あまり気にすることもなくいつも通りの食生活を送っていた。
患者は特に辛いものが好物で、
スパイスの効いたものを好んで摂り、
また日に4,5杯のコーヒーを飲むことも日課となっていた。
そしてしばらくは大きな症状はなかったものの、
次第に胸のあたりの違和感が強くなってきたことと、
今までに感じたことのない胃の不快感を覚えたため不安を感じ、
病院で診察を受けることにした。
胃内視鏡検査(胃カメラ)によって「逆流性食道炎」との診断を受ける。
その際、
医師は「程度としては軽いもので4段階に分けたときの1番下の症状なので薬を飲んでいれば良くなる」との見解であった。
その後胃酸を抑える薬を処方され服用するも症状の改善はみられず、
徐々に食べられる量が減っていき、
食べられるものにも制限が出てくる。
3か月間で体重は7kg減少し、
症状が治まる気配も感じず不安になっていたところ、
以前別の疾患で通っていた当院のことを思い出し、
内科系の疾患にも対応していることを電話で確認したのち受診を決意。
「治療経過」
1診目
患者は胸のあたりの違和感、常にある胃の不快感、吐き気、便秘、の症状を訴えている。
特に食後の胃の違和感と吐き気が1番辛く、
食事で固形物はほとんど摂ることが出来ていないとのこと。
食事は水分の多いおかゆや野菜スープを少し取るぐらいで、
消化に悪そうなものは一切摂らないという生活を送っている。
そのため体重の減少が著しく、
3ヵ月で7kgあまり減ってしまった。
患者の「逆流性食道炎」は、医師の見解では軽い症状であるとのことではあったが、
その後悪化がみられることや症状と腹部の触診から、
決して軽い状態ではないと判断し、
すぐに症状が改善するわけではなく、
徐々に改善がみられるであろうことを患者に説明。
しかし、
今までの私の経験から期間をかけてじっくり施術していけば確実に良くなり完治するであろうことを伝える。
初めの2か月から3ケ月の間は、
週に2回から3回の来院を指示し施術開始。
治療:
合谷・曲池に接触鍼、足三里・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
背部兪穴にお灸を行い、内臓全体の調整。
逆流性食道炎特殊調整、胃・十二指腸調整。
治療後、
患者は「常にあった胃の不快感が少し軽減している気がする。」とのこと。
患者には「現在出来ることをいくつかお教えするので、必ずそれは守るよう。」に伝え、
次回は3日以内の来院を指示し、1診目施術終了。
2診目
前回施術から3日後の来院。
患者は「胃の不快感は少しマシな気もするが大きく変化は感じない。」との報告。
まだ食事はまともに摂れていない。
治療:
合谷・曲池に接触鍼、足三里・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
背部兪穴にお灸を行い、内臓全体の調整。
逆流性食道炎特殊調整、胃・十二指腸調整。
次回は3日以内の来院を指示し、2診目施術終了。
5診目
前回施術から3日後の来院。
患者から
「少し胃の感じが変わってきて、胃の不快感がマシな日が出てきた。吐き気も幾分マシな気がする。」
との報告。
しかし依然として食べれるものは限られていて、
大きく食べられるものは変わっていないとのこと。
治療:
合谷・曲池に接触鍼、足三里・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
背部兪穴にお灸を行い、内臓全体の調整。
逆流性食道炎特殊調整、胃・十二指腸調整、クラニアル調整。
次回は3日以内の来院を指示し、5診目施術終了。
10診目
前回施術から3日後の来院。
1診目の施術から約1か月経過。
患者から「少しずつ食べられる量が増えてきた。しかし調子に乗って食べ過ぎるとしんどくなるので気を付けるようにしている。」との報告。
治療:
合谷・曲池に接触鍼、足三里・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
背部兪穴にお灸を行い、内臓全体の調整。
逆流性食道炎特殊調整、胃・十二指腸調整、クラニアル調整。
次回は3日以内の来院を指示し、10診目施術終了。
15診目
前回施術から5日後の来院。
患者は
「だいぶ症状が落ち着いてきた。気を付けているのもあるが、食べ過ぎてしんどい感じもあまりない。」
との報告。
治療:
合谷・曲池に接触鍼、足三里・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
逆流性食道炎特殊調整、胃・十二指腸調整、クラニアル調整
治療後、食事については炭水化物を少し摂っていくよう指導し、
次回は7日以内の来院を指示し、15診目施術終了。
24診目
前回施術から7日後の来院。
1診目施術から約4ケ月が経過。
患者から
「胃の不快感も、胸のあたりの違和感もかなりマシになってきている。食べられる量も以前に比べたらまだ少ないが、1人前に近いぐらいは食べられるようになってきている」
との報告。
治療:
合谷・曲池に接触鍼、足三里・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
逆流性食道炎特殊調整、胃・十二指腸調整、クラニアル調整
治療後、
状態も少しずつ安定してきていることもあり、
さらに食事についての制限を解除し、
食べ方についての指導を行い、
次回は7日後の来院を指示し、
24診目施術終了。
31診目
前回から14日後の来院。
患者は
「おかげさまでほとんど症状もなく、何も気せずにほとんどのものが食べられるようになっています。一応念のために辛い物はたまにしか食べていないが、食べた時も特に症状が出ることもなく行けている。」
との報告。
治療:
合谷・曲池に接触鍼、足三里・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
逆流性食道炎特殊調整、胃・十二指腸調整、クラニアル調整
今回で逆流性食道炎の治療は終了とし、
1か月に1回のメンテナンス期に移行する旨を伝え、
31診目施術終了。
逆流性食道炎が完治して、以前と同じ食生活を送れています。
Q1.どんな症状をお持ちでしたか?
逆流性食道炎。
内科で薬を処方されました。
Q2.鍼灸治療など、当院へ来院にあたって心配はなかったですか?
また心配はどうやって解消しましたか?
他の部位の治療を受けていましたので、心配はありませんでした。
Q3.当院の施術を受けたときの印象・感想などを教えてください。
その場しのぎの施術はせず、結果を出してくれました。
Q4.あなたと同じ様な症状をもった方へ、何か勇気が出るメッセージがあればお願いします。
逆流性食道炎の中では症状が軽い方でしたが、体重が7kg減りました。
今後食べたい物を食べられないのでは?という不安はありました。
現在は完治して、以前と同じような食生活を送ることが出来ています。
先生には本当に感謝しています。
お名前:D・Kさん ご年齢:35歳 ご住所:奈良県奈良市 ご職業:会社員
※お客様の感想であり、効果効能を保障するものではありません。
「担当からの考察」
今回の患者さんであるD・Kさんは、
以前当院に通ってくれていてた患者さんでした。
それが逆流性食道炎になってしまい、
辛い状態になったときに当院を思い出して連絡下さいました。
元々細身の方ではありましたが、
7kg体重が減ってしまうと見た目にもゲッソリとしてしまい、
すごく辛そうだったのを覚えています。
「軽いと言われた症状のはずが、良くなることもなく悪化していく自分の身体に恐怖すら感じていた。」
とおっしゃっていました。
それが今では、
ほとんど何も気せず好きなものを食べれるまでになり、
大好きな辛いものも依然と同じぐらいのものを食べているそうです。
D・Kさん、
また好きなものを食べられるようになって本当に良かったですね!
私もとっても嬉しいです。
それでは考察に入ります。
まず今回の逆流性食道炎についてですが、
近年とても増えていると言われている疾患の1つになります。
どれくらい増えているかというと
1970年代後半から80年にかけての報告では逆流性食道炎の発症率が1.6%~2.9%ほどであったものに対して、
20年後の1990年代後半から2000年にかけての報告では16.3%と5~10倍に増えています。
さらに患者数は増えていると言われていて、
現在では30%を超えてきているというデータもあるほどです。
つまり日本人の3人に1人は逆流性食道炎を持っているという計算になります。
それほどまでに増えている疾患ですので、
色々と研究が進んでお薬も良いものが出来ていると思いきや、
意外とそうでもないのが現状です。
胃酸を抑える薬と胃壁を守る薬、
それに加えて制酸薬といって食道に逆流してきた胃酸を中和するお薬を用いて治療するのが一般的です。
もちろんそういったお薬も一定の効果はあることもありますし、
多少なりとも症状が緩和されれば気分的にもずいぶん違ってくると思います。
しかしそうなると「一生お薬は飲み続けないといけないです。」と言われてしまうことになってしまいます。
多くの逆流性食道炎で悩んでいる方のお話を聞くと、
ほとんどの方が病院に行ってこの言葉を伝えられ、
愕然とした思いをされています。
お薬を飲まなくてもいい状態を作るために当院では主に3つのことを行って完治に導きます。
- 身体自身の治す力を取り戻す
- 胃の調整を行う
- 横隔膜の調整を行う
さてこの中で「んっ?」と思ったかもしれません。
当院のHPを見ている方や鍼灸を受けたことがあるよという方でしたら1つ目の「身体自身の治す力を取り戻す」というのはわかっていただけるかと思います。
鍼灸治療の優れている点の1つとして自己治癒力を引き出すということがあるのでまずはその点を行っていきます。
そして2つ目の「胃の調整を行う」というのも胃酸が逆流して起こる疾患なのできっとわかっていただけるかと思います。
最後3つ目の「横隔膜の調整を行う」というのは、あまりイメージが湧かないかもしれません。
横隔膜というのは一番の働きとしては呼吸をするときに使う器官なのですが、実は下図のようなくっ付き方をしているのです。
つまり、胃と食道の間には噴門と呼ばれる開閉部があります。
この噴門というのは、
胃と食道をつなぐ扉だとイメージしてください。
ここに「下部食道括約筋」という筋肉と「横隔膜」によって胃酸が逆流しないように噴門という扉の開け閉めをコントロールしているのです。
この扉の開け閉めが上手く出来なくなってしまうと「逆流性食道炎」という症状が出てしまうと考えています。
ですので当院ではあまり一般的には治療をする概念の無い部分である横隔膜を調整することも大切な要因と捉えています。
このようにさまざまな角度から考え、
作られた逆流性食道炎専用の治療があるからこそ、
病院でも治らなかった「逆流性食道炎」が完治にまで至ったと考えられます。
たくさんの方が苦しんでいる症状を少しでも早く楽になって、
元通りの生活に戻ってほしいという強い想いを持って私たちは日々治療に当たっていることを知っておいてください。
あなたとのご縁を心よりお待ちしております。
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