点滴でしか栄養を摂れなかった「つわり」がなくなるための4STEP施術とは?

症例報告

 

Top Member多井一貴

 

 

 

 

「患者」

40歳・女性・会社員

 

「症状」

つわり

 

 

「来院日」

H30年3月

 

 

「来院経緯」

患者は妊娠5週に入ったところで「つわり」を発症。

 

常に胃がムカムカしていて、

食べると余計に気持ち悪くなり、

時には嘔吐することもある。

 

また喉に違和感が出てきていて、

喉に何かがつっかえているような感覚がある。

 

会社に行くことも出来なくなり、

当初は臨月まで働く予定をしていたが、

休まざるを得ない状態である。

 

 

食欲がなくなり、

ほとんどものが食べられず2週間の間、

口に出来たのはリンゴとポカリスウェットのみであるため、

体重が6kg減少し、

病院で点滴を受けてなんとかやり過ごしていた。

 

その後少しずつ口に出来るものが出てきてはいるものの、

匂いに敏感になっており、

特に醤油の匂いが気持ち悪くなる。

 

吐き気止めの薬などもあるが、

出来るだけ薬は飲まずに出産まで乗り切りたいという思いから、

以前通っていた当院のことを思い出し電話で相談し、

来院を決意。

 

「治療経過」

1診目

患者は妊娠7週目。

 

症状は2週間前から「吐きづわり」と「匂いつわり」の状態で、

食べると気持ち悪くなるのと匂いに敏感になっており、

特に醤油の匂いで増悪する。

 

そのため食欲が湧かない。

 

嘔吐することもあり、

常に嗚咽感があり、

食事もままならないため全体的に身体がしんどいとのこと。

 

常に胃に不快感があり、

喉に詰まったかんじの違和感があるとのこと。

 

発症後2週間はほとんど何も口に出来ず、

リンゴとポカリスウェットを少しだけ摂るのみで、

病院で点滴を受けて過ごしていた。

 

 

現在は少し食べれるようになったが、

食べる量は普段の3分の1も食べることが出来ず、

体重も6kgほど減少している。

1度に食べると余計に気持ち悪くなるため、

一口ずつを小分けにして回数を重ねて食べている。

 

 

腹部の触診を行うと明らかな胃に張り感が存在し、

患者も「その箇所を押さえられると気持ち悪い感じがする」とのこと。

 

問診と視診などからこれまで診てきた「つわり」の中でも重度の状態であることが確認出来たため、

患者には「症状はキツイ部類の状態であるので少し時間はかかるかもしれない。

初めの数回は「つわり」の症状に大きな変化がないかもしれないが、

おそらく5回から7回の間で変化が出てくると思われる。」旨を伝え、

治療開始。

 

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

背部兪穴に台座灸をすることにより内臓調整。

女性ホルモン調整、胃・十二指腸調整、クラニアル調整。

 

施術後、

患者は

「胃のムカムカはあまり変わらないが、喉のつっかえ感は少しマシな感じがする。」

とのこと。

 

次回は3日以内に来院するように伝え、1診目施術終了。

2診目

前回施術から7日後に来院。

 

患者は

「今の状態ではとてもじゃないが1人で出歩くことも出来ず、旦那に送ってもらわないと来れないため1週間に1回しか来れそうにない。出歩けるようになったらもう少し詰めて来たいと思う。症状に関しては、吐き気と食べられる感じに変化はないが、喉のつっかえ感が減った分、多少楽になっている気がする。」

との報告。

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

背部兪穴に台座灸をすることにより内臓調整。

女性ホルモン調整、胃・十二指腸調整、クラニアル調整。

 

治療後、

患者は

「喉のつっかえ感がさらに減った。7割ぐらいなくなった感じがする。早く食べれるようになりたい。」

とのこと。

 

次回は1週間後の来院を指示し、施術終了。

6診目

前回施術後より1週間後の来院。

 

患者は

「少しずつ食べられるようになってきている。昨日は野菜を炊いたものを作ってみて食べてみたが大丈夫だった。ただ肉は食べると気持ち悪くなるのと、やはり醤油の匂いがすると気持ち悪くなる。」

との報告。

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

背部兪穴に台座灸をすることにより内臓調整。

女性ホルモン調整、胃・十二指腸調整、クラニアル調整。

 

治療後、

患者は

「少しずつ食べれるようになってきているし、体重も妊娠前ぐらいまで戻ってきている。ただまだ気持ち悪さはあるのが辛い。」

とのこと。

 

次回は5日以内の来院を指示し、6診目施術終了。

 

8診目

前回から4日後の来院。

 

患者は

「会社に行けるぐらいまで調子よくなってきた。お肉も少しなら食べれるし、日曜日に食べられるか不安だったが、旦那が食べているハンバーガーを食べてみたら以外と食べることが出来て、自分でもびっくりした。食べられることが嬉しい。」

との報告。

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

背部兪穴に台座灸をすることにより内臓調整。

女性ホルモン調整、胃・十二指腸調整、クラニアル調整。

 

治療後、

患者は

「だいぶ調子も良くなってきたが、まだまだ食べれる量は前ほど食べられないのでもっと食べられるようになりたい。」

とのこと。

 

次回は1週間後の来院を指示し、8診目施術終了。

12診目

12診目

前回から1週間後の来院。

 

患者は「醤油の匂いは相変わらず苦手だが、だいたいのものは食べられるようになった。今度は顎がおかしくなってしまったので、今日からそちらの治療をしてほしい。」との申し出。

 

「つわり」に関しては状態も良くなってきているため、全体的な調整をすることで対応し、本日より新たに発症した顎の治療をする旨を伝える。

 

「担当からの考察」

はじめに

今回の患者さんであるRさんは、以前に全く別の足の疾患で通院していた患者さんでした。

 

たまたまその時に、妊娠中の症状にも対応できるということをお話していたので、一般的には鍼灸院で治療できると認識の少ない「つわり」など妊娠中の症状でお困りの方に比べると不安なく来院出来たかと思います。

 

ただ今これを読んでくれているあなたは、「この辛い状態はどこで治したらいいのだろう?」とか「鍼灸って妊娠中にしても本当に大丈夫なの?」などいろいろな不安を持っていると思います。

私は今までたくさんの妊婦さんを診てきて、「とても不安な気持ちがあった」という声を良く聞きます。

 

多くの治療院では妊娠中、特に安定期に入る前の状態で治療を断られてしまうケースがよくあると聞きます。

 

ただ当院では日本育児支援協会監修の「周産期解剖生理学講座」の受講を行い、妊産婦さんの身体に対してのプロフェッショナルであると自負しています。

 

ですので、安心して相談してほしいと思います。

 

 

それでは今回の症例の考察に入ります。

 

 

「つわり」と言ってもさまざまな出方があります。

 

「吐きづわり」食べづわり」「匂いつわり」「ねむりつわり」など、

その方によって出方は何種類もあるのです。

 

また「つわり」の場合、色々なケースがあります。

 

発症後すぐから強烈に出るケースや、

徐々に症状がきつくなっていくケースなどさまざまな出方があります。

 

今回のRさんのケースは、

いわゆる「吐きづわり」と「匂いつわり」を同時に発症している状態でした。

 

それも2週間ほとんど何も口に出来ず、

点滴で何とかやり過ごすという大変キツイ状態の「つわり」で苦しんでおられました。

 

発症直後から強烈に出てしまい、

会社にも行けず、何もすることが出来ずに1日の大半を寝て過ごすような状態でした。

 

ここまで症状が出てしまっていると、

1回の施術で大きく楽になる事は少なく、

数回の施術によって少しずつ楽にしていくしかありません。

 

逆に症状の軽いケースでは、

1回目から楽になる場合もあるのですが、

そのあたりは実際に診させていただかないとわかりかねますので、

初診時にしっかりとお話をさせて頂きています。

 

ただどういったケースでも多くの「つわり」は適切な治療を施せば、

楽になっていくことがほとんどです。

 

ではどういった治療を施すのか説明していきます。

 

 

「つわり」のための4STEP施術
身体全体の気の流れの調整
女性ホルモンのバランス調整
胃・十二指腸の調整
CSF(脳脊髄液)調整

 

 

 

まずは当院の施術にとって欠かせない「身体全体の気の流れを整える」ということ。

それに加えて大きく3つの施術を行っています。

 

まず一つ目は、女性ホルモンのバランスを整えました。

つわりが起こるメカニズムというものは実はまだはっきりとわかっているわけではありません。

 

ですが、

おそらく妊娠中にのみ分泌されるホルモンがあるのでそれが原因しているであろうというのが現在の医学的な見地です。

 

これに関しては私としても大きく関係しているだろうということで「つわり」の方には必ず行います。

 

「鍼灸や整体でホルモンの調整なんて出来るものなの?」と思われたかと思いますが、

私たちの施術には足のあるツボを使った特別な治療法があるため、

そういったことが出来るのです。

 

 

そして2つ目に胃と十二指腸の調整を行っています。

 

これは最初にお腹を触診した際に明らかな胃に張りがあり、

患者さん自身も押さえられた不快感があったため、

胃と十二指腸自体の調整を行うべきだと判断しました。

 

そうすることで常にあったムカムカした不快感が消えました。

 

 

最後の3つ目は、CSF(脳脊髄液)調整を行いました。

 

あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、

ざっくりと説明すると脳から脊髄を通って全身をめぐっているものになります。

 

脳から全身をめぐっているのこの通りが悪くなると、

さまざまな箇所に症状が出ることがあるのです。

 

この「身体全体の気の流れを整える」ことと大きく3つの施術の4STEPを使っていくことで「つわり」という妊娠中のつらい状態から抜け出すことが出来たのです。

 

どうしても妊娠中になんらかの症状があると、

「出来る限り薬は飲みたくない」という思いから症状を我慢しようとしてしまうと思います。

 

ただ僕たちのように「薬を使わない」方法もあるということを知っていて下さい。

 

そして妊娠・出産という人生の中でも一大イベントを少しでも快適に過ごせるようにサポートしていきたいと考えています。

 

少しでも妊娠中の悩みや不安があるのなら、ぜひ当院を頼ってみてください。

 

 

あなたとのご縁を心よりお待ちしています。

 

 

 

 

鍼灸王国