原因不明の喉の詰まり・違和感には正体がある、そして治る

症例報告

 

Top Member多井一貴

 

 

 

 

「患者」

53歳・女性・主婦

 

 

「症状」

喉のつまり、違和感

 

 

「来院日」

 

H29年12月末

 

「来院経緯」

発症は1か月前。

 

患者は身体のダルさと喉のつまりを感じる。

 

発症の数か月前から自身の実家の母と、

一緒に住んでいる義母がそろって体調不良を訴えており、

病院や実家に通う日々が続いていたことで疲れもあり、

初めは「風邪を引いたかな?」と推測する。

 

少しの間、家族や親せきに看病を任せて、

自身は休養を取った。

 

数日休養を取ると、

身体のダルさは少し取れてきたが

、喉のつまりは変わらず、

違和感が強くなる。

 

患者は「きっと風邪が治りきっていない」と推測し、

喉に効くといわれる市販の風邪薬の服用を始める。

 

しかし風邪薬の服用をしてもまったく効果はなく、

一向に良くならなかった。

 

喉のつまり・違和感は徐々に強くなってきていることと胸のあたりにも違和感が出てきたことから、

内科と耳鼻科を受診。

 

エコーや内視鏡検査を行うが特に異常は発見されず、

しばらく様子を見るように言われ帰宅。

 

その後も喉と胸のつまり・違和感は消えることなく、

たまに感じていたものが、

常に感じるようになる。

 

常に感じるようになってからは、

物を飲み込むのが辛くなり、

次第に食欲も湧かなくなっていた。

 

どこに行けば良くなるのかもわからないことから不安になっていたところ、

以前から通っていてこれまでも困ったときに相談していた当院に電話で問い合わせたところ、

治療が可能であることを知り、

来院を決意。

「治療経過」

1診目

患者は常に喉と胸につまり・違和感を訴えている。

身体全体のダルさもあり、喉と胸につまり・違和感があることから食欲がないとのこと。

 

上図のように喉の両側に長細い飴のようなものがあるような感覚と胸のあたりに異物感があるとのこと。

病院でエコーや内視鏡検査では異常が見られず、実際に喉の奥や食道に何かがあるわけではないとのこと。

そのため病院では治療する術がなく、様子を見るように言われている。

 

患者の訴える病状から私は咽喉頭異常感症(ヒステリー球)と判断。

これまでの経験から治療を行うことで完治は可能であるが、初めの3週間は週2回通わないと治りが悪いことを説明し、患者の同意を得て治療開始。

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

背部兪穴にお灸を行い、内臓全体の調整。

ホルモンバランス調整、横隔膜調整、自律神経調整。

 

治療後、

患者は「喉の細長い飴玉状の違和感が少し軽減している。今まで気付かなかったが、呼吸がしにくくなっていたのが治療を受けてわかった。」とのこと。

 

次回は3日以内の来院を伝え、1診目施術終了。

2診目

前回から3日後の来院。

 

患者は「まだ常に喉に違和感があるが、初めよりも小さくなっているかんじがある。」との報告。

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

背部兪穴にお灸を行い、内臓全体の調整。

ホルモンバランス調整、横隔膜調整、自律神経調整。

 

治療後、

患者は「治療を受けている最中から喉のかんじが変わっていくのがわかった。施術を受ける前よりまた楽になっている。」との報告。

 

次回は3日以内の来院を伝え、2診目施術終了。

 

6診目

前回から3日後の来院。

治療開始から3週間が経過。

 

患者は「今回は喉の違和感がない時間があった。今までは常にかんじていたので、少しでも感じない時間があるのが気分的にすごく楽。」との報告。

 

喉の違和感がない時間は出てきたが、胸の違和感は未だに常に残っているとのこと。

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

背部兪穴にお灸を行い、内臓全体の調整。

腹膜調整、胃・十二指腸調整、自律神経調整。

 

治療後、

患者は「喉の細長い飴玉状のものの大きさは3割ぐらいになって、かなり小さくなっている。胸の違和感はまだ半分ぐらい残っている。」とのこと。

 

次回は1週間後の来院を伝え、6診目施術終了。

9診目

前回から7日後の来院。

 

患者は「喉の違和感がある時間がほとんど無くなった。たまに感じる程度でずいぶん楽。胸の違和感もない時間が出てきている。」との報告。

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

背部兪穴にお灸を行い、内臓全体の調整。

腹膜調整、胃・十二指腸調整、自律神経調整。

 

次回は1週間後の来院を伝え、9診目施術終了。

11診目

前回から7日後の来院。

 

患者は「喉の違和感は完全になくなった。この1週間は感じることもなく過ごすことが出来た。胸の違和感もほとんど出ておらず、1週間で1回か2回ほど出たぐらい。」との報告。

 

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

背部兪穴にお灸を行い、内臓全体の調整。

腹膜調整、胃・十二指腸調整、自律神経調整。

 

次回は2週間後の来院を伝え、11診目施術終了。

13診目

前回から2週間後の来院。

 

患者は「ほとんど症状が出ることはなかった。ほんの少し胸の辺りに違和感があったような気がするが、それも少しの時間だけで無くなった。」との報告。

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

背部兪穴にお灸を行い、内臓全体の調整。

腹膜調整、胃・十二指腸調整、自律神経調整。

 

患者には、症状が出ることもほとんどなくなり、安定してきていることから1か月に1回のメンテナンスに移行する旨を伝え、施術終了。

「担当からの考察」

今回の患者さんであるIさんは、

風邪のような症状から喉と胸のつまり・違和感が出てきて、

常に感じることから食欲もなくなり、

体重も減ってしまうといった状態でした。

 

唾を飲み込むのも異物感があり、

ストレスが凄かったようです。

 

それはそうですよね。

 

人間は思っている以上に1日に何度も何度も唾を飲み込んでいます。

 

そのたびに喉のつまり・違和感が出ていたら・・・

 

精神的にまいっちゃうのもわかります。

 

そんな状態であって、

病院に行っても何も異常は見当たらず、

「気のせいじゃないの?」という感じで対応されたら、

ショックに感じてしまったかもしれませんね。

 

そんな状態から解放されたIさんは、

今では何も気にすることなく生活することが出来ていて、

趣味のお菓子作りやゴルフに打ち込んでおられます。

 

本当に良かったですね、Iさん^^

 

 

それでは考察に移ります。

 

今回の喉のつまり・違和感は「咽喉頭異常感症(ヒステリー球)」という状態から来るものでした。

 

東洋医学的にいうと「梅核気」や「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)」と呼ばれる病態になります。

 

あまり聞きなじみのある疾患名ではないかもしれません。

 

内視鏡カメラやその他検査上問題がなく、

喉に違和感があるというのが特徴です。

 

まさに今回のIさんの症状そのものです。

 

この症状に関しては、

実は古代ギリシア時代から考察されていて、

医学の父と呼ばれたヒポクラテスが記載したとも言われています。

 

一般的にこの症状は、

「自律神経のバランスが崩れている」「ストレスを多く抱えている」という女性に多く出ると考えられています。

 

ですので、

今回の治療においては「ホルモンバランスの調整」と「自律神経のバランスの調整」を重点的に行うことで、

喉のつまり・違和感を取り除いていきました。

 

またそれだけではなく、

今回のIさんの場合には、

「鎖骨」と「喉」にロックがあったため、

症状が出ていました。

 

このように「ホルモンバランスの調整」と「自律神経のバランスの調整」という身体の内側から働きかける治療と、

「鎖骨」と「喉」にロックを外すという身体の外側から整えていく治療を施すことで、

非常に治りにくい「咽喉頭異常感症(ヒステリー球)」の症状を完治にまで導くことが出来たと考えています。

 

今回のIさんのように原因不明でどこに行って治療したら良いかもわからないような状態であったとしても、

症状が出ているということは必ずどこかに原因があると考えています。

 

私たちは、

そんな原因不明で日々の生活に不自由に感じて困っている人を、

1人でも多く救いたいという想いで施術に当たっています。

 

あなたとのご縁を心よりお待ちしております。

 

 

 

鍼灸王国