10年間患った両膝の変形性関節症が4か月・25回の治療で完治

症例報告

Top Member 植田 康司

 

 

 

「患者」

50代 女性

 

「症状」

変形性膝関節症

「来院日」

2018年2月下旬

「来院経緯」

患者は

10年前に両膝の痛みを覚え、整形外科を受診する。

 

レントゲン撮影の結果、医師から

「両膝の関節裂隙が正常より狭くなっていて、変形性膝関節症です」

「手術は必要はないので、痛みが出たら注射をするからその都度来るように」と伝えられる。

 

患者はそれから5年間、

医師の指示のもと痛みが出たら病院でヒアルロン酸注射をし、

痛みが引いている間は普段通りに生活。といった状態を繰り返していた。

 

しかし、症状は改善せず

堂々巡りの状態に業を煮やし

自宅近くで、治療が可能な医療機関を探す。

 

それから更に5年間、

整形外科でのヒアルロン酸注射とレントゲン撮影での膝の状況確認は継続しつつ、

カイロ、整体と少なくとも5か所の治療所を巡り症状の改善を図った。

 

だが、症状は少しづつ悪化し

医師から、「関節裂隙が正常の半分以下になって、手術対象です」と告げられた。

 

患者は、

「手術は避けたい」「痛みなく生活がしたい」と、再度治療可能な医療機関を探し、当院にたどり着く。

 

当院のホームページを読み、

同じ変形性膝関節症の患者さんが

手術を避けられ、痛みなく生活している事に希望を抱き、来院を決意。

「治療経過」

1診目

現在、患者は

「段差の昇り降りがスムーズにできない」

「動き出しの痛みが特に強く、就寝後の起床時に顕著に表れる」と訴えている。

 

また、

「歩行は怖さがあるため、恐る恐る歩いている状態で、段差は避けている」との事。

 

触診・検査を行う。

左膝

右膝

写真の赤× 両膝内側に圧痛を確認。

写真の青〇 両膝内側の全体に熱感を確認。

 

写真の黄ラインに、大きな左右差はないが、

両膝共に、伸展制限がみられ、屈曲拘縮を起こした状態である。

 

これは、変形性膝関節症の代表的な随伴症状である。

 

両膝の圧痛・熱感共に変形性膝関節症の好発部位であり

特徴的な随伴症状も見られたため、「変形性膝関節症」と判断。

 

患者からの要望は

「手術は避けたい」「痛みなく生活がしたい」である。

 

私の経験上、

発症から10年経過しているが、要望は共に可能である。

 

ただし、

10年経過している事と、両膝の屈曲拘縮をおこしている事を踏まえ

治していく為に治療は週に2回必要と判断し、患者に同意を得る。

 

その他、

症状を完治に導くための3つの注意点と、症状の改善経過について伝える。

 

「注意点」

 

  • 過度の膝屈曲を回避するため、

正座や畳上での生活を避け、椅子での生活をすること。

 

  • ストレッチやトレーニングは、禁止とし、

今後行う場合はこちらに指示を仰ぐこと。

 

  • 変形性膝関節症は、症状に変化がみられても

器質的な変性が原因にあるので、継続してメンテナンス治療が必要であること。

 

「改善経過」

 

変形性膝関節症の症状は段階を踏んで改善していく。

 

  • 平地での歩行が改善。

 

  • 起床時の痛みの改善。

 

  • 段差での動きが改善。

 

注意点・改善経過共に同意を得て、

何か変化や気になることがあれば伝えるように指示。

 

就寝後の起床時に一番強く痛む為、

この痛みをペインスケール「10」と設定し、治療開始。

 

(ペインスケールとは痛みを10段階で表わした指標のこと。10に近づくにつれ痛みが増す。患者に数字を示させる。)

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太衝に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

骨盤調整、下肢アライメント調整、下肢捻転抑制調整

 

治療後、

就寝後の起床時に一番強い痛みを訴えている為、

ペインスケールは次回来院時に確認する。

 

次回は、3日後の来院。1診目施術終了。

2診目

前回から3日後の来院。

 

患者から

「起床時の痛みと段差の昇り降りに大きな変化ないが

平地での歩行はこれまでと比べ楽でした」と報告。

 

初診時と同様に、

圧痛・熱感ともに変わらない。

 

治療前、ペインスケール「10」

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太衝に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

骨盤調整、下肢アライメント調整、下肢捻転抑制調整

 

治療後、

初診時と同様に確認を指示し、2診目施術終了。

 

次回も3日後の来院。

5診目

患者から、

「起床時の痛みはあるが、少しづつ落ち着いてきているように感じる」

「段差の昇り降りは変わらない」と報告。

 

圧痛・熱感はあるが、

初診時と比べ、少し落ちついている。

 

ここまで、

初診時に説明した通り、症状に変化が出てきている事と

こちらの指示通りに来院してもらい、順調である旨伝え、施術開始。

 

治療前、ペインスケール「7」

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太衝に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

骨盤調整、下肢アライメント調整、下肢捻転抑制調整

 

次回も、3日後の来院予定。5診目施術終了。

 

8診目

患者から、

「前回治療後、自宅の階段で脚を踏み外して、膝がピンと伸びてしまい、

それ以来痛みが強い」と報告。

 

患部の確認を行う。

 

前回に比べ

圧痛・熱感共に強いが、腫れている緊張感はない。

 

患者には、

「一時的に、痛みと熱感は強くなっているが、2、3回あればしっかり改善するので安心してください」と伝え、治療開始。

 

治療前、ペインスケール「9」

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太衝に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

骨盤調整、下肢アライメント調整、下肢捻転抑制調整

 

次回も、3日後の来院予定。8診目施術終了。

 

11診目

前回から3日後の来院。

 

患者から

「以前、階段で脚を踏み外した時の痛みはなくなりました」

「その分、用事で歩き回ったので膝から下が重だるい」と報告。

 

再度、患部の確認。

8診目のような圧痛・熱感ともに消失し、脚の動きがスムーズである。

 

治療前、ペインスケール「5」

 

ここまで、初診から1か月半。

平地での歩行は改善し、起床時の痛みも半分にまで改善。

経過は順調である。

 

患者には、

「引き続き、変化あれば報告する事」と

「次々回の治療後、治療間隔を空けていけそうである」旨伝え、治療開始。

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太衝に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

骨盤調整、下肢アライメント調整、下肢捻転抑制調整

 

次回も、3日後の来院予定。11診目施術終了。

15診目

前回から、5日後の来院。

 

患者から、

「低い段差なら、気にせず歩けています」

「歩くスピードも以前に比べ上がってきました」と報告。

 

治療前、ペインスケール「3」

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太衝に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

骨盤調整、下肢アライメント調整、下肢捻転抑制調整

 

次回は7日後の来院予定。15診目施術終了。

 

25診目

前回から7日後の来院。

 

患者から

「小走りができました」

「起床時の痛みは無く、重だるさも気にならなくなってきました」と報告。

 

治療前、ペインスケール「0」

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太衝に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

骨盤調整、下肢アライメント調整、下肢捻転抑制調整

 

これまで、

初診から4か月経過。

 

私の話した通りの経過を辿り、改善した。

 

患者には、

「起床時の痛みは改善したが、変形性関節症は器質的な変性が原因にあるので、継続してメンテナンス治療が必要であること」を再度伝え、

2週間に一度の継続治療とし、25施術目施術終了。

「患者さんの口コミ・感想」

「担当からの考察」

今回の患者さんである、

H・Nさんは長年、変形性膝関節症の症状にお困りでした。

 

初診時は、

「とにかく痛みがとれて欲しい」とおっしゃっておられました。

 

私の経験上

しっかり治せるものですし、治す自信もありました。

 

注意点は、

随伴症状の屈曲拘縮が起こっていた事。

 

この症状を慎重に見定め

治療を継続した結果、H・Nさんの要望に答える事が出来ました。

 

H・Nさん

これからは、この良い状態をキープしていく為の

治療をしっかり継続していきましょう!

 

お困りのことがあれば

いつでもおっしゃって下さい。

 

 

それでは、考察に移ります。

 

膝関節は、

正常な動きの中でも、大腿骨と脛骨がお互いに回旋(捻じれ)するように可動します。

 

上記のようになります。

 

今回のH・Nさんの症状で

特に注目するPOINTは、「屈曲拘縮」を起こしていたことです。

 

変形性膝関節症は

「ケルグレン・ローレンスの分類」と言われる全5段階のステージ分類法があります。

 

グレード0 正常

グレード1 わずかな骨棘形成(変化が徐々にあらわれる段階)

グレード2 明確な骨棘形成・関節裂隙狭小

グレード3 軟骨や半月板の消耗が顕著、硬化像中程度

グレード4 骨棘・関節裂隙狭小・硬化像などがより明瞭になり、症状が目に見えてわかる

 

このようになります。

グレード2以上が変形性膝関節症と診断され、グレード3以上で手術適応とされています。

 

H・Nさんは

初診時、「目で見てわかる」屈曲拘縮が起こっていました。

 

つまり、グレード4

医師から「手術対象です」と告げられ、

私が、POINTに挙げ慎重に見定めながら治療をおこなった理由です。

 

そして、

長年の膝への負担から器質的な変化が起こり、

膝関節の回旋の動きが増大、膝にかかる体重の数倍~数十倍の負荷に耐えれなくなり、

構造的な変性が加速。

 

こうした経過を辿り、

10年の歳月をかけ、ステージ4に至ったと考えられます。

 

治療は、

膝の回旋を必要最小限に留める為の施術と、変性により崩れた身体全体の

アンバランスの改善を中心に行いました。

 

その結果、

ステージ4手術適応の変形性膝関節症が

たった4か月25回の施術で完治に至ることができました。

 

ですので、

手術を勧められていたり、痛みで十数年辛い思いをしていたとしても、

今回のように治してあげられる事ができます。

 

もしも、

あなた自身や、あなたの周囲の大切な方が

「手術を回避したい」「痛みや、今後の生活の不安を解消したい」と

望んでいるなら、私に相談してください。

 

そんな方々を、一人でも多く治してあげたいと思っています。

 

感謝

鍼灸王国