「即手術」といわれた脊柱管狭窄症が22回の施術で完治 完治に必要な3つのポイントとは?

症例報告

Top Member 植田 康司

 

 

 

 

「患者」

 

40代 男性

 

 

「症状」

 

 

脊柱管狭窄症

 

「来院日」

 

 

2017年7月下旬

 

「来院経緯」

患者は半月前に腰の痛みに気づく。

 

何度も「ぎっくり腰」や「腰痛」を

経験していた患者は、これまでと同様に「安静にしておけば落ち着くだろう」と判断。

 

湿布を患部にはり、様子をみていた。

 

2週間が過ぎた頃、痛みは落ち着き趣味であるゴルフの練習に向かう。

 

しかし、

その練習中に、「ピキッ」と音がしたように感じた瞬間

シビレを伴う痛みが出現。

 

これまで一度も

シビレを感じた事が無かったため、患者は不安になり整形外科を受診。

 

レントゲン撮影・MRIにて

精密検査を行ったところ、「脊柱管狭窄症」と診断をうける。

 

ドクターからは

「すぐに手術が必要なくらいの症状」と告げられた。

 

だが、患者は

「何とか手術を回避したい」と保存療法を選択。

 

ブロック注射や湿布、腰の牽引治療など受けたが

日に日に痛みとシビレが強くなる。

 

患者は

このままでは日常生活もままならないと、脊柱管狭窄症を治せる治療院を探す。

 

インターネットで当院のホームページをみつけ

患者さんの声や、症例報告などを読み

藁をもすがる思いで、来院を決意。

「治療経過」

1診目

現在、患者は

シビレと痛みの為、右脚を引きずりながらの歩行を余儀なくされている。

 

「歩行時の痛みとシビレが一番辛い」と訴えている。

 

ベッドに横になっている時でも

右の足首~指先にかけて強いシビレを感じ、落ち着けないとの事。

 

また、仕事は

シビレが出てからデスクワーク中心に変え、

外回りをセーブしている為、大きく困ったことはない。

 

触診・検査を行う。

 

きっかけとなった腰痛は

現在、圧痛とハリ感があるのみ。

 

患部の痛みとシビレに対して確認を行う。

 

座位時

前屈みの動作で痛み・シビレ共に緩解。

 

再度歩行状態を確認。

 

やはり、右脚を引きずりながら歩行している。

 

普段は、

休みながら歩いており、距離が長くなった分だけ

痛み・シビレが増すとの事。

写真の赤×の右臀部に圧痛を確認。

写真の青ラインに歩行時シビレと痛みを確認

歩行状態と痛み・シビレの緩解姿勢共に

脊柱管狭窄症の特徴的な症状と体勢である。

 

よって

「脊柱管狭窄症」と判断。

 

患者からは

「手術を回避したい」と要望。

 

私の経験から手術は回避可能である。

 

しかし、

脊柱管狭窄症は手術をしても症状が再発する可能性が高い疾患である。

 

その為、

患者には大事なPOINTを4点伝える。

 

  • 脊柱管狭窄症は難治性の疾患である。

治療間隔は初めの1ヶ月は週に2回治療に来る事。

 

  • 再開の許可を出すまで、ゴルフの練習及びラウンド、ストレッチ・筋力トレーニングなどの身体に負担のかかる行為の一切を禁止。

 

  • 通常、脊柱管狭窄症の治療はどれだけ早くとも半年以上の期間を要する。

その為、治療間隔について自己判断せず、必ずこちらの伝えた事を守る事。

 

  • 症状が良くなっても継続してメンテナンスを行う事。

 

一見、厳しいと感じるかもしれないが、

脊柱管狭窄症は、器質的な変性(脊髄を保護する脊柱に変性が生じる)が原因で、

治療期間を要し、再発リスクも高い難治性の疾患である

 

 

その為、

患者には、特に

  • の治療間隔・回数を守ってもらう様に伝える。

 

ただ仕事が不規則な為、来られない時もある。と報告。

その為、患者には来院できる時には必ず週2の治療に来る事を伝え

同意を得て、治療開始。

 

現在患者は

歩行時の痛みとシビレを一番強く訴えている。

 

この痛みをペインスケール「10」と設定し、治療開始。

(ペインスケールとは痛みを10段階で表わした指標のこと。10に近づくにつれ痛みが増す。患者に数字を示させる。)

 

ペインスケールは痛みに対する指標である。

シビレはその場での変化が出にくい症状である為、除外とする。

 

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太谿に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

内臓・腹膜調整、腹部深層筋調整、下肢アライメント調整、下肢循環調整

 

治療後、ペインスケール「10」→「8」

 

患者から

「治療前と比べると、脚の踏ん張りが効く」と報告。

 

次回は2日後の来院。1診目施術終了。

 

2診目

前回から2日後の来院

 

患者から

「前回治療後の状態は維持できている」と報告。

 

動作確認。

 

初診時と同様に、歩行時の脚の引きずり、安静時の足首~指先にかけてのシビレは

継続している。

 

ペインスケール「8」のまま維持。

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太谿に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

内臓・腹膜調整、腹部深層筋調整、下肢アライメント調整、下肢循環調整

 

治療後、院内で歩行確認。

前回と同様に、「脚の踏ん張りは効く」と報告。

 

その他、症状に変化なし。

 

ペインスケール「8」→「7」

 

次回は3日後の来院。2診目終了。

3診目

前回から3日後の来院。

 

患者から

「前回の治療後、痛みに変化はない」

ただ、

「症状全体を考えると、少し落ち着いているように感じる」と報告。

 

ペインスケール「7」のまま維持。

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太谿に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

内臓・腹膜調整、腹部深層筋調整、下肢アライメント調整、下肢循環調整、

裏環跳刺鍼

 

今回の治療は

立位での施術が可能であった。

 

これまで出来なかった事を踏まえ、

症状に大きな変化はないが、身体内部で変化が出ている証拠である。

 

患者にはその旨伝え、

何か変化を感じたら些細な事でも相談する事と

再度この1ヶ月間は治療間隔を守る様に指示。

 

ペインスケール「7」→「6」

 

次回は2日後の来院。3診目終了。

4診目

前回から2日後の来院。

 

患者から

「痛みは前回治療後、より楽になりました」と報告。

 

ただし、

「立位時のダルサと寝ている時の足首~指先にかけてのシビレを

強く感じる」とも報告。

 

動作確認

 

歩行時の脚を引きずる状態は続いているが、

初診時に比べ、強く踏み込めている。

 

ペインスケール「7」→「5」

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太谿に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

内臓・腹膜調整、腹部深層筋調整、下肢アライメント調整、下肢循環調整、

裏環跳刺鍼

 

 

治療後、ペインスケール「5」のまま維持。

 

次回は3日後の来院。4診目施術終了。

 

5診目

前回から3日後の来院

 

患者から

「痛みや、歩行感覚に変化はない」

「足底・足首・臀部に違和感がある」と報告。

 

また、前回治療時の

「立位時のダルサと寝ている時の足首~指先にかけてのシビレ」は落ち着いている。

 

ペインスケール「5」のまま維持。

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太谿に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

内臓・腹膜調整、腹部深層筋調整、下肢アライメント調整、下肢循環調整、

裏環跳刺鍼

 

ペインスケール「5」→「3」

 

シビレは日により波はあるが、

痛みは順調に改善してきている。

 

次回は仕事の都合で5日後の来院。5診目終了。

8診目

前回から2日後の来院。

 

患者から

「全体的に調子は良いが、身体を捻る動作をすると右腿裏と足首のシビレとハリを強く感じる」と報告。

 

ペインスケール「2」のまま維持。

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太谿に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

内臓・腹膜調整、腹部深層筋調整、下肢アライメント調整、下肢循環調整

臀部刺鍼・パルス調整

 

治療後、ペインスケール「2」のまま維持。

右腿裏と足首のシビレとハリも減少。

 

 

次回は2日後の来院。8診目終了。

12診目

前回から7日後の来院。

 

患者から

「仕事が通常通りに再開となり、下肢全体の筋肉痛と臀部の違和感がある」と報告。

 

ペインスケール「2」のまま維持。

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太谿に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

内臓・腹膜調整、腹部深層筋調整、下肢アライメント調整、下肢循環調整

臀部刺鍼・パルス調整

 

 

患者から

「痛みはだいぶ落ち着いて気分的に楽」

「足首のシビレはあるが、これから忙しくなる仕事は、何とか乗り越えられそう」と報告。

 

痛みは残るものの、

体調も落ち着いてきたのでゴルフの練習再開の許可をだす。

 

次回は3日後の来院。12診目終了。

15診目

前回から1週間後の来院。

 

患者から

「仕事のペースが上がったが、維持出来ていると報告」

 

たが、

「次回の治療は仕事の都合上2~3か月後になる」と報告

 

ペインスケール「2」のまま維持。

シビレは日によるが、診察時は落ち着いている。

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太谿に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

内臓・腹膜調整、腹部深層筋調整、下肢アライメント調整、下肢循環調整

臀部刺鍼・パルス調整

 

次回の来院は仕事の都合上、2~3か月後となる見通し。

患者には、都合がつけば当日でも来院するように指示し、15診目施術終了。

 

16診目

前回から3ヶ月後の来院

 

患者から

「この3ヶ月、症状が悪化しそうになる事もあったが、

仕事のペースをコントロールして何とか乗り切りました」と報告。

 

また、

「シビレについては大きく変化していないが、

これ以上治療間隔があくと、悪化しそうな感じがある」とも報告

 

ペインスケール「2」→「5」

 

状態を確認。

期間が空いたため、痛みが強くなっているが、

大きく体調は崩していない。

 

患者に

「これなら大丈夫。3回で前回の状態には出来ます」と伝え治療開始。

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太谿に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

内臓・腹膜調整、腹部深層筋調整、下肢アライメント調整、下肢循環調整

臀部刺鍼・パルス調整

 

治療後

ペインスケール「5」→「3」

 

次回の来院は6日後の予定。16診目施術終了。

22診目

前回から2週間後の来院。

 

患者から、

「慌ただしく仕事をすると、足首の違和感はあるが気になる程ではない」

と報告。

 

「ゴルフの練習・ラウンドも痛み・シビレなく、楽しめている」とも報告。

 

動作確認。

 

歩行時の痛み・シビレは無く、脚を引きずる動作も完全に解消されている。

ペインスケール「0」

 

治療:

 

曲地・合谷に接触鍼、太谿に置鍼し、身体全体のエネルギー調整

内臓・腹膜調整、腹部深層筋調整、下肢アライメント調整、下肢循環調整

 

本日で、初診から8ヶ月。

 

患者には、

次回から1ヶ月に1回のメンテナンスに移行する旨伝え、22診目終了。

「患者さんの口コミ・感想」

「担当からの考察」

今回の患者さんである西さんは、

痛みとシビレで歩けないくらいの状態で来院されました。

 

初診時に

「この歳で狭窄症を発症して、今後の生活を考えると、ゾッとする」

と、仰っていました。

 

本当に、

不安な気持ちがいっぱいで、藁にもすがる思いだったでしょう。

 

しかも

仕事の都合上、治療間隔が3ヶ月もあいた、非常に稀なケースでした。

 

治療に通院できない期間も不安だったでしょう。

 

ですが、

私の指示通り、通院した結果、

延べ8ヶ月、22回の治療で完治に至りました。

 

先にも述べたように

脊柱管狭窄症は、難治性の疾患です。

 

全ての患者さんが

西さんと同じ経過をたどり、完治に至るわけではありませんが、

お買い物や旅行、趣味を楽しんでもらえるまでに治していく事ができます。

 

西さんも今では

日常生活は元より、趣味もしっかり楽しんでおられます。

 

これから先も

良い状態を継続していけるように、しっかりサポートしていきますから

安心して下さいね!

 

 

それでは、考察に移ります。

 

 

狭窄症には、

難病指定を受けているものがあります。

 

それは、

頚椎・胸椎・腰椎の複数個所で同時に起こる狭窄症で、

“広範脊柱管狭窄症”と言います。

 

今回の患者さんは

この”広範脊柱管狭窄症”ではなく

”腰部脊柱管狭窄症”でしたが、狭窄症という疾患が

いかに完治に辿り着くのが難しいかご理解いただけると思います。

 

では、

主な原因として一般的には、

 

  • 加齢
  • 生まれつき脊柱管が狭い
  • 骨の変形
  • 別の疾患から起こる2次的要因

 

などが挙げられ、特徴的な症状として

 

  • 間欠性跛行
  • 下肢のシビレや筋力低下
  • 膀胱直腸障害

 

などがあります。

 

この間欠性跛行は

数分又は数十メートル歩くと、痛みやシビレが原因で歩けなくなるが

しばらく休むと、歩けるようになる。

 

この状態を繰り返す歩行の事をいいます。

 

そして、

閉塞性動脈硬化症と

バージャー病(閉塞性血栓血管炎)という

血管性病変にもみられる症状なので鑑別が必要です。

 

閉塞性動脈硬化症は

生活習慣病である、糖尿病や、高血圧症、高脂血症、メタボリックシンドローム、喫煙などが原因とされています。

 

また、シビレに伴い

“冷感”が出現している場合もあります。

 

そして、

この疾患は脚だけではなく、

全身の血管で起こる可能性があるため、全身症状がないかも確認する必要があります。

 

 

もう一つの

バージャー病(閉塞性血栓血管炎)は

若年男性の喫煙者に好発するとされ、特に四肢の血管に炎症が起こり

潰瘍や壊死を引き起こします。

 

 

私は、

ドクターではありませんので”診断”は出来ませんが、

これらの情報と、

患者さんの現状を一つ一つ問診しながら確認を行い、判断していきます。

 

 

今回の

患者さんである西さんは

喫煙歴、全身症状、病院での検査結果、触診などから

血管性病変から起こる、間欠性跛行ではないであろう。と判断しました。

 

 

ここまで

読んで頂いたあなたはどうでしたか?

 

思い当たる部分があったかもしれません。

 

 

では、

続いて、どのようにして治療を行ったか。

 

一般的な治療は

服薬、理学療法、ストレッチ、筋肉の増強、体操など、多種多様な保存療法があります。

 

ですが、

西さんは、ドクターから”即手術”といわれる程の症状でした。

 

私の経験上、

わずか1ヶ月あまりの短期間に

ここまでの症状になるには、大きく3つの原因があります。

 

  • 内臓疲労の蓄積
  • 下肢のアライメント不良
  • 脳脊髄液の循環不良

 

この3点です。

 

内臓疲労は

身体が持っている、治癒力・免疫力の低下を招きます。

 

アライメント不良は

下肢の可動性・連動性を低下させ、腰部・臀部に過度の負担をかけます。

 

また、

脳脊髄液の循環不良は

神経の代謝を著しく低下させ、結果として内臓・筋肉に負担をかけます。

 

こういった

原因がケア出来ずに長年積み重なり、急激な症状として現れたのです。

 

あとは、

この原因の解消を徹底する事で、”即手術”と言われた

脊柱管狭窄症が完治に至ったのです。

 

ですので、

今回のように手術が必要と言われた場合でも、

私の経験上、治してあげられる事が多いです。

 

もし、

あなた自身や、あなたの周囲の大切な方が

「先々の不安を解消したい」「手術を回避したい」

と望んでいるなら、私に相談してください。

 

そんな方々を、一人でも多く治してあげたいと思っています。

 

感謝

 

鍼灸王国