症例報告
奈良の鍼灸「鍼灸王国」
Top Member多井一貴
「患者」
44歳・女性・会社員
「症状」
上腕骨外側上顆炎(肘外側部痛)
「来院日」
H29年6月
「来院経緯」
発症は3ケ月ほど前。
患者は剣道の稽古中に左肘に違和感を覚えた。
初めは違和感程度のものであったものが次第に痛みへと変化。
徐々に痛みは強くなり、1か月ほど前からは動かすとズキっとした痛みを感じるようになる。
それでも剣道の稽古を続けていると、稽古の翌朝は疼くような痛みを感じるようになる。
そのうち右の肘にも違和感を覚えるようになり、左ひじの痛みは剣道の稽古後のみではなく、日常生活にも支障をきたすようになってきたことから「このままではもう剣道が出来なくなるのではないか?」と悩むようになる。
そんな折、子供の部活仲間の父兄から当院のことを勧められ、同時に通っている道場仲間の中にも当院への通院経験のある方がおり、両社から高い評判があったため、「ここなら何とかしてくれるのでは?」と来院を決意。
「治療経過」
1診目
患者は両肘とも外側に疼痛及び違和感を訴えている。
右肘は曲げ伸ばしの際に違和感をのみ、痛みはない。
左肘は、曲げ伸ばしの際に強く痛みを訴えており、剣道の稽古後の翌朝は疼くような痛みがある。
日常動作では、
「ペットボトルのフタを開ける」
「タオルを絞る」
上記動作時に痛みを強く感じるとのこと。
触診と検査を行う。
患者は丸の部分に圧痛と熱感がある。
さらにその周囲の筋肉に緊張が強く出ている。
Thomsen テスト 陽性
中指伸展テスト 陽性
以上のことから「上腕骨外側上顆炎(肘外側部痛)」と判断。
私の今までの経験上、完治は可能であるとの見解を伝える。
患者は「剣道の稽古を続けながら治したい」との意向であるため、『稽古を行いながらの治療も可能であるが、その代わり期間・回数共にかかることになる』旨を説明し、患者の同意を得る。
左肘の最大伸展時に痛みを一番強く訴えていることから、最大伸展時の痛みをペインスケール「10」と設定し、治療開始。
(ペインスケールとは痛みを10段階で表した指標のこと。10に近づくにつれ痛みが強い状態。患者自身に数字を示させる。)
治療:
合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
橈骨変位調整、大胸筋弛緩調整、鎖骨変位調整、腎臓調整。
治療後、ペインスケール「10」→「8」
屈曲時の可動域が広がり、痛みも軽減。
伸展時にも同様に可動域が広がり、痛みも軽減
次回は3日以内に来院することを伝え、1診目施術終了。
2診目
前回から3日後の来院。
患者から「前回治療後、身体全体がとにかくだるくなった。痛みは少し引いたような気がするがまだ使うと痛い。剣道の稽古は前回の治療後からはまだ行っていないのでわからない。」との報告。
身体全体のだるさに関しては、初診時の治療前に反応が出るという説明を行っていたため、心配はなかったが「こんなに反応が出るものだとは思わなかった。」と驚かれていた。
(当院での施術は、特殊な治療しているため好転反応として出る)
ペインスケール「8」のまま維持。
治療:
合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
橈骨変位調整、大胸筋弛緩調整、鎖骨変位調整、腎臓調整。
治療後、ペインスケール「8」→「7」
次回は前回と同じく3日後の来院を伝え、2診目施術終了。
3診目
前回施術から3日後の来院。
患者から「前回の施術後に剣道の稽古に行ってみた。竹刀を振る時の痛みはマシで、全体的な痛みは減っている。しかしやはり翌朝は疼く痛みがあった。」との報告。
ペインスケール「7」のまま維持。
治療:
合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
橈骨変位調整、大胸筋弛緩調整、鎖骨変位調整、腎臓調整。
治療後、ペインスケール「7」→「5」
ペインスケールが半分に減少。
次回は前回と同じく3日以内の来院を伝え、3診目施術終了。
4診目
前回施術から1週間後の来院。
患者から「息子が風邪を引いてしまい、来院が遅くなってしまった。途中から痛みが強くなってしまった。ちゃんと来ておけば良かったがどうにもならなかった。またなんとか治して欲しい。」との報告。
事情があったためではあるが計画通り治療が出来なかったことで、痛みがぶり返してしまった。
ペインスケール「8」に後退。
治療:
合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
橈骨変位調整、大胸筋弛緩調整、鎖骨変位調整、腎臓調整。
治療後ペインスケール「8」→「6」
次回は、今回痛みが強く出てしまったこともあるため、必ず3日以内に来院するよう伝え、4診目施術終了。
5診目
前回から3日後の来院。
患者から「痛みは半分ぐらいになっている。前よりはましだが、まだペットボトルの蓋を開けると痛い。竹刀も軽く振る分にはマシだが強く降ると痛い。」との報告。
ペインスケール「6」→「5」
治療:
合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
橈骨変位調整、大胸筋弛緩調整、鎖骨変位調整、腎臓調整。
治療後、ペインスケール「5」→「3」
屈曲時の可動域が広がり、痛みも軽減。
伸展時にも同様に可動域が広がり、痛みも軽減
次回は1週間後の来院を伝え、5診目施術終了。
10診目
6診目から10診目のあいだ、厳しい稽古が続いたことでペインスケール「3」から「5」の間を行ったり来たりという状況であった。
患者から「厳しい稽古の時期をなんとか乗り越えられて良かった。これからしばらくは今までほど厳しくはなくなると思うので、この時期にまたさらに良くしてほしい。」との報告。
ペインスケール「5」
治療:
合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
橈骨変位調整、大胸筋弛緩調整、手指変位調整、腎臓調整。
治療後、ペインスケール「5」→「3」
手指にロッキングがあることから、竹刀を振る時の力の入れ方や日常動作での指の使い方を指導。
次回は1週間後の来院を伝え、10診目施術終了。
11診目
前回から1週間後の来院。
患者から「竹刀を振る時の痛みがかなりマシになっていた。それに伴って稽古の翌朝の痛みもかなり楽になっていた。」との報告。
ペインスケール「3」→「1」
治療:
合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
橈骨変位調整、大胸筋弛緩調整、手指変位調整、腎臓調整。
治療後、ペインスケール「1」→「0」
施術室内で動かした際の痛みはすべて消失。
実際に剣道の稽古を行っての痛みの確認を指示。
次回は1週間後の来院を伝え、11診目施術終了。
12診目
前回から1週間後の来院。
患者から「稽古中の痛みは全くなかった。稽古の翌朝も痛みはなかったが、違和感が少しあった程度。だいぶ調子が良い。」との報告。
治療:
合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。
橈骨変位調整、大胸筋弛緩調整、手指変位調整、腎臓調整。
稽古後の翌朝の違和感が消えるまでは治療を止めないよう注意し、次回は2週間後の来院を伝え、12診目施術終了。
15診目
患者から「稽古後の翌朝の違和感もまったくなくなった。何も気にせず稽古も出来ている。」との報告。
この日より上腕骨外側上顆炎(肘外側部痛)の治療を終了し、患者がもう1つ気になっていたアキレス腱の治療に移行する旨を伝える。
「患者さんの口コミ・感想」
もう治らないと思っていたアキレス腱と肘の痛みが完治しました
Q1.どんな症状をお持ちでしたか?
学生時代より剣道をしており、慢性的なアキレス腱炎がありました。こちらとしては「もう治らない」と思い、だましだまし稽古をしていました。
又さらに肘も痛くなり、剣道どころか日常生活にも支障が出てきていました。色々な整骨院に行きましたがなかなか良くなりませんでした。
Q2.鍼灸治療など、当院へ来院にあたって心配はなかったですか?
また心配はどうやって解消しましたか?
子どものクラブのお母さんから良い所があると聞き、家からも近かったので通うようになりました。通院経験のある人が周りに数人おり、皆さん評判が良かったので特に心配はありませんでした。
Q3.当院の施術を受けたときの印象・感想などを教えてください。
初回施術後はとにかくだるくて眠くなりました。整骨院的な施術は全くないので、治療の効果は半信半疑でした。
Q4.あなたと同じ様な症状をもった方へ、何か勇気が出るメッセージがあればお願いします。
数回の施術後、伸ばすことも痛かった肘が少しずつ良くなって、気が付くと痛みもずいぶんとおさまりました。アキレス腱炎もいつの間にか気にならなくなっていました。一時は「もう剣道が出来なくなるのでは?」と悩みましたが、鍼灸王国に出会えて本当に良かったです。
お名前:K・Oさん ご年齢:44歳 ご住所:奈良県生駒市 ご職業:会社員
※お客様の感想であり、効果効能を保障するものではありません。
「担当からの考察」
今回の患者さんであるK・Oさんは中学生のころから剣道をしている方でした。
娘さんと一緒に稽古に励んでいて、どうしても剣道を続けていきたいという強い想いを持っておられました。
その中で肘に痛みが出てしまい、「もう剣道が出来なくなるんじゃないか?」という不安の中、何とかしたいという藁をもすがる思いで来られました。
今ではメンテナンスに通いながら、何の不安もなく剣道に楽しく打ち込んでおられます。
これからもガンガン剣道をたのしんでくださいね、K・Oさん!
それでは考察に入っていきます。
まず「上腕骨外側上顆炎(肘外側部痛)」は肘周辺の筋肉をオーバーユース(使い過ぎ)することで起こると言われています。
確かに使い過ぎで起こりやすいということはあると思います。
ただ私の見解では、単純に肘周辺の筋肉をオーバーユースすることで起こるかというと「そんなはずはない」と考えています。
その方特有の使い方があり、別の箇所からも負担がかかることで起こってしまうということです。
今回のK・Oさんの場合、肘周辺の筋肉はもちろん強い緊張が見られたのですが、「鎖骨周辺にズレ」と「手指のロッキング」がみられました。
K・Oさんにお話を伺うと、肘が痛くなる前に鎖骨の辺りを強打されたそうです。
それが1つの原因となり、今までと使い方が変わってしまったことで過去痛みの出たことのなかった肘に痛みが出てしまったのだと思います。
さらにその状態で稽古を続けることで、振るときの指にも影響が出てしまったため、いつまでも治らない状態がつづいてしまいました。
そういった原因となっているものを1つ1つ丁寧に取り除いていくことで、稽古を続けながらでも確実に完治に導くことが出来ます。
私たちにはこういった原因となっている箇所を見つけ出し、取り除ける技術があるので安心して頼ってきてください。
「上腕骨外側上顆炎(肘外側部痛)」というのは、きちんと原因を取り除けば必ず良くなります。
多くの「痛み」でやりたいことが出来なくなってしまった方を復帰させてあげたいという思いで毎日治療にあたっています。
痛みがあって「あきらめないといけないかも」と悩んでいる方は、当院に来て復帰しましょう!
あなたとのご縁を心よりお待ちしております。
