レギュラー争いに勝ち残った「10日で腰痛改善プログラム」とは?

症例報告

奈良の鍼灸「鍼灸王国」

Top Member多井一貴

 

 

 

 

「患者」

17歳、男性、高校生

 

 

「症状」

腰痛

 

 

「来院日」

H30年1月初旬

 

 

「来院経緯」

患者は野球部に所属。

 

発症は3週間前。

練習中、走っていると右腰部に痛みを感じた。

動けないほどの痛みではなかったこともあり、その日はそのまま練習を続けた。

帰宅後、自宅でストレッチを行うと痛みは軽減。

翌日の朝、痛みはあるものの前日よりは軽減されていたため練習に参加。

 

その日以降も痛みはあったが、やはり動けるので練習を続けた。

痛いながらも動けるが、だましだまし動いているうちに徐々に痛みは増していき、練習を休まないといけない状態となる。

 

痛みで休まざるを得ない時期が年末と重なり、数日練習を休むと正月休みに入る。

患者は「正月休みでゆっくり休めば良くなるだろう」と思っていたが、休養を取っても痛みは変わることなく続いていた。

 

患者は、高校最後の大会にレギュラーで出るために厳しいレギュラー争いをしていた。

このまま腰痛が長引いてしまえば、レギュラーを取れなくなってしまうと焦りを覚えた患者は、両親に相談した。

以前、当院に通っていた同級生の母親から勧められたことを思い出し、来院を決意。

 

「治療経過」

1診目

患者は、運動時に痛みを訴えている。

 

歩く分には痛みを感じないが、走る際は軽いジョグ程度でも痛みを感じる。

バットを振る際はボールを打つのはもちろん、素振りすら痛みで出来ない。

ボールを投げるのは、軽く投げる程度は出来るが、少し強く投げると痛くて1球で投げられなくなる

 

下肢にシビレはなし。

 

触診と動作確認を行う。

 

両側の脊柱起立筋に硬結と圧痛、さらに仙腸関節部に圧痛を確認。

圧痛の度合いは仙腸関節の方に強く出ている。

 

動作確認を行うと、立位での前屈時に痛みを強く訴える。

さらに腰を捻る動きでも痛みを訴えている。

両動作とも「動き出し」により強く痛みを感じている。

 

また問診にて「時折腰に力が入らないような、抜け落ちそうな間カウになる。」という訴えも出た。

 

以上のことから「仙腸関節炎」と判断。

その判断をもとに治療を進めていく。

 

患者は早期での競技復帰を目指していることから、必ず詰めてくるように伝え、患者の同意を得る。

 

患者は、立位での前屈時に痛みを1番強く訴えていることから、前屈時の痛みをペインスケール「10」と設定し、治療開始。

(ペインスケールとは痛みを10段階で表した指標のこと。10に近づくにつれ痛みが強い状態。患者自身に数字を示させる。)

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

骨盤アライメント調整、腸腰筋バランス、内臓下垂調整。

 

治療後、ペインスケール「10」→「7」

立位での前屈時及び腰を捻る動きの痛みが軽減し、可動域も広がっている。

ただしまだ運動は厳禁で、出来る限り痛みの出ない範囲での動きにするよう強く指導。(患者は早期復帰への焦りから練習再開を訴えたため)

 

次回は3日以内の来院を指示し、1診目施術終了。

 

2診目

前回から2日後の来院。

患者から「次の日の方がより痛みが少なかった。言われたようになるべく動かずに練習も座って見学にしている。」との報告。

 

触診と動作確認を行う。

脊柱起立筋及び仙腸関節部の圧痛は減少しているが、残存。

 

立位での前屈及び腰を捻る動きの痛みも軽減している。

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

骨盤アライメント調整、腸腰筋バランス、内臓下垂調整。

 

治療後、ペインスケール「7」→「5」

ペインスケールが「5」になった事で痛みが半減していることがわかる。

 

患者からは「痛みが半減したので動けそう。少しだけでも練習に参加したい。」との訴え。

しかし状態を考えると復帰するには早いと判断。

患者には「焦る気持ちはわかるが、今無理をして再発してしまったら元も子もない。必ず早期復帰させるからまだ練習は休みなさい。」と伝え、同意を得る。

 

次回は同じく3日以内の来院を指示し2診目施術終了。

 

3診目

前回から3日後の来院。

患者は「痛みがさらに減っている。腰に力が入らないような、抜け落ちそうな感覚もほとんどない。言われたように練習には参加せず我慢した。」との報告。

 

触診と動作確認を行う。

 

脊柱起立筋及び仙腸関節部の圧痛が大幅に減少。

 

立位での前屈及び腰を捻る動きもスムーズさが出てきている。

若干の痛みは残存。

ペインスケール「5」→「2」

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

殿筋MO、腸腰筋バランス、内臓下垂調整。

 

治療後、ペインスケール「2」→「0」

 

立位での前屈及び腰を捻る動きで痛みはなし。

タオルを使っての投球動作を行うと、思い切り振った際に違和感がある。

 

この状態であれば練習の再開は可能と判断。

ただし全力で動くことは避け、まず始めはジョグと軽いキャッチボール、素振り程度に留め、段階的に強度を上げることを伝える。

その際、ノックやバッティング練習は行わないことを約束する。

 

次回は5日後の来院を指示し3診目施術終了。

 

4診目

前回から5日後の来院。

患者から「言われていた形で練習を行った。特に痛みは感じなかったが、ダッシュ時に少し違和感が少しだけ出た。それも毎回ではなく、たまに感じる程度だった。」とのこと。

 

ペインスケール「0」のまま維持。

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

殿筋MO、腸腰筋バランス、内臓調整。

 

治療後、動作確認を行う。

タオルを使っての投球動作では、思い切り振っても痛み・違和感共になし。

 

施術室内での動作では痛み・違和感がなくなったため、全ての練習の許可を与える。

 

本格的な練習を始めたことによる疲労を考慮に入れ、次回は1週間後の来院を指示し4診目施術終了。

 

5診目

前回から1週間後の来院。

患者から「腰のことは何も気にせずに練習出来ている。きついトレーニングが多くて身体はバキバキだけど頑張っている。」との報告。

 

治療:

合谷・曲池に接触鍼、太谿・百会に置鍼することにより身体全体の気の流れを調整。

殿筋MO、内臓調整、全身血流調整。

 

今回で施術は終了し、1か月に1回のメンテナンスに以降する旨を伝え、5診目施術終了。

「担当からの考察」

今回の患者さんであるKくんは、野球部の高校生でした。

春から夏にかけての最後の年に活躍するための準備期間として高2の冬はとても大切な時期です。

 

そんな時に初めて腰を痛めてしまい、思うように練習が出来ないというのは、本当に辛かったと思います。

 

私自身、中学生の2年の冬に、競技や痛めた場所は違いますが、痛みで満足に練習が出来ず、最後の夏は散々な成績で終わってしまった経験があるからこそ『絶対に早く復帰させてあげたい』と強く思って施術に当たりました。

 

焦る気持ちもあった中、私の言うことをきちんと守ってくれたこともあり、早期に競技復帰出来て本当に嬉しいです。

 

頑張ってレギュラーとってね~^^

 

 

それでは考察に移ります。

 

今回の腰痛の原因になっていたのは、「仙腸関節」という部分に痛みが強く出ていました。

この「仙腸関節」というのは、背骨にかかる上半身の重さと下半身にかかる衝撃を受け止めてくれる箇所なので、本来ほとんど動くことのない関節です。

ですがKくんの場合、野球の練習やトレーニングで積み重なった疲労から「仙腸関節」が耐え切れなくなってしまい、本来動かないところがズレてしまい、痛みが出てしまったのです。

 

そして疲労の蓄積により、人間がもともと持っている「治癒力」が落ちてしまって治らないという状態になってしまっていました。

 

そのため治療は「ズレてしまった関節を戻してあげること」と、「治癒力を戻してあげること」を重点的に行いました。

 

実は「ズレてしまった関節を戻してあげること」よりも、「治癒力を戻してあげること」の方が重要になって来ます。

 

なぜならどんなに良い手技で「ズレた身体」を戻したとしても、「治癒力」が無ければすぐにまた悪い状態に戻ってしまうからです。

 

そのために「気の流れ」や「内臓」を調整して、「治癒力」を良い状態にしてあげた上で、「ズレてしまった関節を戻してあげること」を行うことで10日後に練習を再開し、1月もかからずに全力でプレー出来るようになったのです。

このように痛みのある箇所だけでなく、全身の調整をしていくことが早期復帰のために重要になってきます。

 

 

私は、プレーしたくても出来ない状態で困っている人を1人でも多く救いたいという想いで施術に当たっています。

 

あなたとのご縁を心よりお待ちしております。

 

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腰痛

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